著しく変革する国内のコーポレートガバナンスに係る環境

コーポレートガバナンス

2012年に第二次安部政権がスタートし、安倍首相の政策の目玉とされた日本再興戦略のひとつがコーポレートガバナンス改革であります。安部政権は、まず投資家の振舞いを定めたスチュワードシップ・コードの制定をし、2015年にはコーポレートガバナンス・コードの制定をしました。矢継ぎ早にガバナンス関連の施策を実施してきたのです。そんな中、上場企業各社はコーポレートガバナンス・コードの対応に追われ、社外取締役の選任や、報酬・指名委員会等を設置など、「形式上」のコーポレートガバナンス体制を整備しつつあります。

コーポレートガバナンスに係る環境は著しく変化し続けています。「形式的」なコーポレートガバナンス体制を整備してきた上場企業各社に対し、政府は「実行性のある」コーポレートガバナンス体制の整備を求めております。産業競争力会議から引き継がれた「未来投資会議」では、日本の「稼ぐ力」を強化すべく、収益性の高い事業への転換や、コーポレートガバナンスの強化(未来投資会議では経営システムの強化と称している)が謳われています。また、会社法改正においても、「会社法制(企業統治等関係)部会」が新設され、部会での検討を経て、法制審議会総会で審議されることとなりました。

さらに、経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システム研究会(CGS)は2016年7月から9回に亘って開催され、その報告書を公表しました。報告書では、形骸化した取締役会の経営機能と監督機能の強化、社外取締役の質重視、役員人事プロセスの客観性向上とシステム化、CEOのリーダーシップ強化のための環境整備等が提言されています。また、東芝問題でクローズアップされている、退任社長・役員の相談役・顧問就任に対する役割・処遇の明確化、情報開示に関しても提言されています。

本年3月31日に金融庁から、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)に関する発表がされました。この原則は、大手監査法人を対象として策定されたものでありますが、既に10を超える監査法人がこの原則を採用していることを考えれば、上場企業の監査を担当する監査法人はこの原則に対応せざるを得なくなるであろうと考えられます。

その結果、上場企業を取り巻く主要なステークホルダー(企業そのもの・投資家・監査法人)に対し、原則(コード)が制定されたこととなります。CGS報告書の公表に加えスチュワードシップ・コードの改定も迫っており、コーポレートガバナンスに係る環境は著しく変革を遂げることとなります。「形式的」から「実効性」へ改革が求められる中、上場各社はどこまで「真剣に」コーポレートガバナンスに取り組めるか、海外機関投資家も注視しているはずです。

株式会社CGIR
代表取締役 小橋 伸一郎